八雲町別所地区 「大餅神事」

以前、「水神祭り」を紹介しましたが、今回は、1月8日から10日の3日間行われた大餅神事を紹介します。

400年以上続いている行事で、大きな餅を搗き、1日置いてしめ縄・榊で飾りつけをし、3日目に麓から標高458mの山頂にある星上寺に餅を奉納する行事です。

和紙に直接関係はありませんが、この地域は出雲風土記に記載されている地名や神社が今もあります。古くから人が生活を営む良い条件がそろっていたことが伺えます。榮四郎が生まれ育ったこの東岩坂別所地区は、正月明けにこの大餅神事があります。このような神事で、しめ縄や幣をよく見かけますが、しめ縄一つでも藁をたたき柔らかくして繋ぎながら撚って行きます。誰かがこの神事を記憶するのではなく、地域全体で子供の時から見て参加し覚えていくのです。

明治時代には一石のもち米で搗かれた大きな餅でしたが、時代と共に変わっていき、今は5升餅です。様々な条件も変わり男性のみでは人手が少なく、今では女性も参加します。和紙に重ねると、この日本の文化・伝統工芸も繋げることは大変ですが、地域に密着した方法で継承することが大切ではないかとあらためて認識しました。もちろん幣は手漉き和紙で作られました。

この別所地区では集落が5つ、農閑期に紙に関わる仕事は副業の一つでした。明治から昭和初期にかけて100軒あった集落の7割が紙に従事していた記録があります。三椏を栽培することもその一つで、冬になると三椏を刈り、蒸して皮を剥ぐ、その蒸し釜の跡が一つの集落に何ヶ所かあります。蒸す桶も高さ180cm以上あり、今ではその桶を作る職人はいません。今回聞き取り調査を進めていくと今では考えられないほど、人と人の繋がり、共同・協力し生きてきたことが見えてきました。


大餅神事・餅つき

大餅神事火起こし

大餅神事飾り餅