vol.1体験プログラム(ライブ配信有)

10月30日(土)

 

於:安部榮四郎記念館 参加者20名


第1部 講演会

時間:13時~14時20分

講師:石州半紙技術者会 会長 西田誠吉(にしたせいぎ)氏

演題:「石州和紙の現状と将来に思うこと」


第2部

石州和紙と出雲民藝紙の漉き比べ

及び石州和紙(楮)と出雲民藝紙(雁皮)の紙漉き体験

時間:14時30分~17時

実演指導:石州和紙協同組合 理事長 川平正男氏

     出雲民藝紙工房  代表  安部信一郎


 コロナ禍の中での開催でしたが、愛知県や兵庫県からも参加いただき、とても充実した体験プログラムでした。講演と実演はライブ配信し、参加されなくても見ていただけるようにしました。第1部の講演では、技術者会会長の西田氏に石州和紙の始まりから現在に至る状況の説明がありました。特に国の重要無形文化財 石州半紙について、楮という植物の原料栽培から紙にするまでの長い工程や石州半紙の品質管理においても厳しく管理していることの説明を聞き、大変驚きました。

また原料は、和紙にとって重要なものですが、地元産の原料から抄紙できていることについて、とても自信をもたれていました。楮は1年ごとに採取でき、石州は栽培経験者が多く、楮畑も多い地域です。冬になって刈り取りし、皮剥ぎをした後には、たくさんの皮が干してあり冬の風物詩になっているそうです。楮の生産者が今は少なくなったそうですが、石州半紙は他の地域や海外に頼らず地域で受け継いでいく強い姿勢を感じました。

第2部の漉き比べでは、まず石州和紙の特徴ある楮の漉き方と出雲民藝紙の代表である雁皮紙を漉く様子を見ていただきました。一般的に紙漉きは同じように見えますが、和紙に地名が付くことが多いように、それぞれ違いがあります。本来、その地方の気候や風土に育てられた原料で漉くことにより、それぞれの特長が出ています。もちろん原料にする処理方法も違います。今回、石州半紙の原料を持ってきていただき、漉き方、紙質の違いを見て、参加者の方に紙漉き体験を通して違いを体感していただくことができました。

動画を見ていただくとわかりますが、石州半紙は水の流れが一方方向、主に縦に流します。出雲雁皮紙は縦と横、溜めながら厚さ調整をします。


雁皮紙作りについて

今回を含め、4回の体験で雁皮の原料作りから紙の製作まで記録します。本日は、安部榮四郎が生前購入していた(50年以上前に採取され保管されていた出雲市大社町の島根半島に自生していたもの)雁皮黒皮を使いました。ジンチョウゲ科に属した雁皮は、原料に適するには30年~50年かけて成長したものを使います。春ごろの樹液が多い時、立木のまま切って皮を生剥ぎし乾燥して保存します。また楮や三椏と比べると、何十年も保存しておける原料です。山に生息し今や絶滅危惧種となっていますが、毒性があり鹿も食べないと言われています。

今回の皮もかなり乾燥して硬くなっているので、30cmくらいに裁断し、水を張った甕(地元での呼び名はハンド)2個に漬けておきます。1週間後に取り出し煮熟する予定です。今回使用したのは4キロ…担当 山野孝弘


和紙のMIRAI Ⅱ 出雲民藝紙×石州和紙

https://youtu.be/5zedaDpF87c

和紙のMIRAI Ⅱ ライブ配信

https://youtu.be/QEqBpRXrS2Q


参加者感想

・ペーパーレス化に伴いデータとしての紙の行く末は厳しいものがありますが、芸術素材としての和紙の方向はいろいろ考えられるようですね。基本的な工程は何となく理解できたように思います。ありがとうございました。(70代男性)

・石州半紙のお話で現状とこれからが明快に知ることが出来ました。経済的発展の中で収入が高まり、効率の悪い仕事が無くなっていく。和紙の原料作りもその一つなのでしょう。その中で突破口を見つけて行動されることを期待します。(70代男性)

・大好きな和紙の話、楽しく聞きました。また来たいです。50代女性

・産地として技術の標準化をすることが素晴らしいと思う。紙漉き体験を初めてしました、楽しかったです。50代女性

・若手の育成に力を入れていることは、将来につながると思う。後継者に女性が多いのは知らなかった。技術の継承の取り組みがよく分かり、育成についてもリアルな話が聞けて良かった。西田さんの話は分かりやすく、また覚悟のようなものを感じた。今回のようにライブ配信で多くの人に知ってもらうことは大事だと思う。

・参加させていただきありがとうございました。和紙のことがよく分かりとても良い時間でした。30代女性

・前半のお話から後半の実演まで濃い内容を体験でき、とても充実した日になりました。You tubeのライブ配信も遠方の方にはありがたいものになったと思います。今の紙漉きの現状を発信することが、大事になってくると思いました。多くの時間や人がかかりますが、未来へ繋がる活動になると思いました。ありがとうございました。30代女性

・石州半紙のできる工程に少し触れて感動しました。たいへんだーと感じました。50代女性

・本当に懐かしい。希望のある話を聞けて嬉しく思いました。50代男性

・石州和紙、i出雲民藝紙の2つの違いが分かって良かったです。それぞれ良い風合いがあって感動しました。和紙でもこんなに違いがあるとは思っていなかったので、本日は貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございます。20代女性

・世界中に日本しかない和紙、その中でも伝統技術である手漉き和紙は、日本の文化として残さなければいけないと改めて感じました。60代男性

・今回初めて紙漉き体験をしました。原料ごとに紙質が異なるのが面白かったです。ありがとうございました。20代男性

・楮、雁皮の違いを体験を通して感じた。原料不足の話もあり、大変勉強になった。20代男性

・原材料の確保と後継者の育成は大変だと思う。女性が多いとのことでしたが男性にもアピールしないといけないですね。楽しく出来ました。次も体験できればと思いました。ありがとうございました。70代男性


(西田誠吉氏講演)

(雁皮の皮の裁断)

(裁断した雁皮を甕に漬ける)

(漉き比べ)

(石州半紙・出雲民藝紙漉き比べ)

(石州半紙・川平正男氏指導)

(参加者カード紙漉き体験)

(参加者と講師)